MINI/R55/マフラーから白煙/バルブステムシール交換
- GARAGENT ガレージェント
- 7月6日
- 読了時間: 3分

今回は、MINI(R55)クーパーが「マフラーから白煙が出る」という症状で入庫されました。
最終的にはバルブステムシールの交換を行うことで改善されましたので、その経緯と作業内容をご紹介します。
■入庫時の症状:マフラーからの白煙
白煙=水蒸気の可能性もありますが、・煙にやや青みがある・アイドリング後のアクセルで一気に噴き出すといった特徴から、エンジンオイルの燃焼を疑いました。
■白煙の原因を診断
白煙が出る原因としては以下のようなものが挙げられます。
ターボ車であればタービンのオイル漏れ
ピストンリングの摩耗や焼き付き
バルブステムシールの劣化
R55はNA(自然吸気)仕様だったため、タービンは関係ありません。コンプレッション(圧縮圧)テストでも圧縮に異常なし。結果として、バルブステムシールからのオイル下がりが最も疑わしいという結論に至りました。
■バルブステムシールとは?
エンジンの吸排気バルブの軸(ステム)に取り付けられているゴム製のシールです。このシールが劣化すると、シリンダーヘッド内にあるオイルが燃焼室側へ流れ込んでしまうため、オイルが一緒に燃焼して白煙が発生する、というわけです。
とくに冷間時や長時間アイドリング後に症状が顕著に出るのが特徴です。
■バルブステムシール交換作業
この作業は、シリンダーヘッドを取り外して行う必要があります。MINI(R55)はエンジンルームが狭く、やや手間のかかる作業になります。
1. 各補器類の取り外し
まずはインテークマニホールド、エキゾーストマニホールド、カムカバー、タイミングチェーンカバーなどを丁寧に外していきます。
2. シリンダーヘッドの取り外し
ヘッドボルトを順番に外し、シリンダーヘッドを取り外します。この時点で、燃焼室にオイルが溜まっていた痕跡を確認できました。
3. バルブの分解とシール交換
専用のバルブスプリングコンプレッサーでスプリングを外し、バルブステムシールを1本ずつ交換していきます。シールは全部で16個(IN/EX 各8本)。劣化したものは硬化し、ひび割れも見られました。
4. 清掃・組み付け
カーボンの堆積がひどかったため、バルブや燃焼室も洗浄。新品のガスケット、オイルシールを使って組み付けを行い、タイミングチェーンの張り具合も慎重に調整していきます。




■交換後の変化
エンジン始動後、まずはアイドリングでしばらく様子を見ます。
そして冷間状態から温まるまで観察。
その後、しっかりアクセルを踏み込んでも白煙の発生はありませんでした!
さらに走行テストでも白煙の再発は確認されず、オイル消費も安定しました。
■まとめ:白煙は「オイル下がり」のサインかも?
今回のように、バルブステムシールの劣化は年数や走行距離によって起こりやすいトラブルのひとつです。特にMINI(R55)は10年以上経過している車両も多く、同様の症状が出やすい傾向にあります。
マフラーから白煙が出る=すぐにエンジンブローではありませんが、オイルが燃える=潤滑性能の低下に直結します。放っておくとピストンやバルブにダメージを与える可能性があるため、早めの点検・整備が重要です。
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