【Cクラスオーナー様要注意!】メルセデスベンツ/Cクラス/W205/エンスト/エンジン警告灯点灯/オイルポンプバルブ交換/ステアリングモジュール交換
- GARAGENT ガレージェント
- 7月2日
- 読了時間: 5分

今回は、メルセデス・ベンツ Cクラス(W205)にて「エンジン警告灯が点灯し、時折エンストする」という症状でご入庫いただいた車両の整備事例をご紹介いたします。
不調の原因を診断していったところ、エンジンオイルポンプバルブ(制御バルブ)に不具合が見つかり、交換作業を行いました。
W205にお乗りの方で同様の症状にお悩みの方の参考になれば幸いです。

■ 症状の詳細
お客様からのお申し出は以下の通りです。
信号待ちでエンジンが突然ストール(停止)
再始動はできるが、時折加速時にも息つきがある
エンジンチェックランプ(MIL)が点灯した
エンジンのかかりは良好で、冷間時は特に異常がないように思えましたが、走行中の再現性のあるエンストと警告灯点灯は重大なトラブルの前兆であることが多いため、すぐに点検を開始しました。
■ 診断作業
まずは診断機(XENTRY)にてDTC(故障コード)を確認します。記録されていたエラーは下記の通りです。
P06DA00:エンジンオイルポンプ制御回路 – 開回路または短絡
P06DB00:エンジンオイル圧力調整バルブ – 機械的故障
このコードは、エンジンオイルポンプに取り付けられている制御バルブ(ソレノイドバルブ)に電気的または機械的な不具合があることを示しています。
M274エンジンでは、このバルブが油圧制御の一部としてエンジンの潤滑と燃費制御を担っています。バルブが開閉不良を起こすと、油圧低下や異常圧力によってエンジンの安全装置が作動し、チェックランプが点灯、最悪の場合エンストする可能性があります。


■ 作業内容
車両をリフトアップし、アンダーカバーを取り外し
エンジンオイルを抜き取り(完全にドライ状態に)
オイルパン側よりオイルポンプバルブを取り外し
新品のバルブをトルク管理のもとで取り付け
エンジンオイルフィルター交換と新油充填
システム初期化と診断機によるエラー消去
試運転・再診断を経て完了
オイルポンプ制御バルブは非常にコンパクトなパーツですが、その働きは重要で、油圧が正しくコントロールされることで初めてエンジンの性能が発揮されます。
文字にまとめると簡単ですが、実際の作業は結構大変でした。
まずはエンジンオイルパン(アッパー)を外すのにキャリアを切り離す必要があるので上からエンジンを吊り上げます。
エンジンはエンジンマウントを介してキャリアに乗っかっているので、簡単に言うと吊り上げないとエンジンが落ちます。

まずはエンジンオイルを全量排出


ロアのオイルパンは簡単に外れますが、ご覧の通りアッパー側は大部分がキャリアの上に位置しています。
キャリアを固定しているボルトを外していき、ミッションジャッキを当てて慎重に降ろしていきます。
キャリアの前側部分はラジエーター周りまで一体の部品になっており、完全に降ろしきる場合フロントバンパーやその周りも脱着作業が発生します。
他社様のブログなどでは完全に降ろしきっているところもあったのですが、結局はアッパーオイルパンを外すことができればいいので降ろしきらずにやってみます。

キャリアをフリーにして、オイルパンとの間に脱着可能なスペースを確保します。
ステアリングシャフトを切り離したら脱着はギリできそうな空間は確保できました。
ロアオイルパンを外した中に、脱着の際干渉しそうな部品があるので予め外しておきました。
あと、アッパーオイルパンを固定しているボルトが2本この中にありましたのでロアオイルパンを外さずに降ろすことは不可能です。


若干の知恵の輪要素をクリアしてなんとかオイルパン摘出。
オイルレベルゲージのパイプが邪魔になるのでエンジン上側の固定ボルト外すとパイプがフリーになりよけやすいです。

あとはこのオイルポンプバルブを交換して組付ければ終わりなのですが、、、

バルブに接続されているハーネスがちぎれていました、、
その先のコネクターも劣化によりボロボロ
調べなおしてみたら他社様でもちらほらこうなってしまっている車両がありました。
次回以降はこちらも同時交換で作業内容に入れておいた方がよさげです。
部品商に確認したら在庫あるとのことだったのでお客様に説明ののち発注して部品待ち、、

部品が到着したらすぐ組めるようにオイルパン2つとエンジン側の液体ガスケット除去と清掃。

外したバルブ(左)とハーネス(右)

定休日を挟んで2日後部品が届いたので作業を続行します。
バルブは新品を軽く振ると中身が動いてカチカチ音がするのに対し、外したバルブは振っても動かず音もしませんでした。

バルブとハーネスを付けて、新しく液体ガスケット(クロシーラント)を隙間なく塗布して諸々を組んでいきます。
組み終えたらオイルフィルターを交換し新油を充填して作動と漏れのチェック。
問題なさそうです。
しばらく置いてから漏れの最終チェックを再度行うので、それまで別の作業をします。

診断時にステアリングコラムモジュールにも故障メモリがあったため同時にご案内しておりました。
W205は結構あるあるです。

エアバッグを外し、

センターずれないようにマークして、

ステアリングを外します。


コラムモジュールはASSYで、各レバーごと交換です。

すべて組んだのち、診断機で故障メモリをリセットして作業終了です。
オイルパン作業の方も最終チェック問題ありませんでしたのでこのままご納車となります。
■ まとめ
今回のW205では、エンジン警告灯の点灯とエンスト症状の原因が、オイルポンプバルブの不良であることが判明しました。
最近の欧州車は電子制御による油圧調整が非常に繊細なため、オイル管理が車両トラブルの予防に直結します。
もし、同じように「チェックランプが点いた」「エンジンが止まりそうになる」といった症状がある方は、お早めの点検をおすすめいたします。
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